※この記事は一人称視点で進みます。ご了承ください。
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俺の名前は愛見沢 恭也(ラブみざわ きょうや)!
勝敗はともかく、受験戦争を終わらせてキャンパスライフという名の4年間のモラトリアムを得ることに成功した。
今日はいよいよ入学式だ……緊張するなぁ。
受付で貰った案内表に目を通す。
「席は五十音順か……俺は愛見沢(ラブみざわ)だから星野(ほしの)さんの隣みたいだな」
「あ、あそこかな……」
「すいませーん失礼しまーす……」
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「ポヨ!(小声)」
「えっ?」
それが俺とカービィの出会いだった────────────────
カービィと学食
「うちの大学にはカービィがいるのかぁ~」
まぁ大学って色んな人が集まるっていうしな。
なんとなくグループを形成してなんとなく講義をこなす日々の中で俺はカービィのことが忘れられずにいた。
「カービィって苗字『星野』で登録してるんだ……」
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「おーいラブミー!学食でメシ食おうぜー!」
そんなことを考えてるとグループの奴から呼ばれる。もうそんな時間か。
「いまいくよー!」
学食では食券を買ったり、カウンターのおばちゃんに注文して後でレジでお金を払ったりするシステムだ。
「俺きょうカツカレー大盛りにする!」
「そんなに食わなきゃないほど頑張ってないだろw」
「なんだと〜!そんなこと言ってラブミーだってペッパービーフ丼大盛りなんて食うほど頑張ってないだろ〜!www」
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他愛のないやりとりを交わしながらペッパービーフ丼の券を手にご飯物の列に並ぶ。
ふと、足元を見やると。
「ポヨ……」
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カービィがいた。
「カービィもペッパービーフ丼頼んだの?」
聞くと「ペポョ……」などと口籠もりながら首を振っている。
わかった。カービィは並んでるつもりなのに小さすぎておばちゃんに見えてなくて順番を飛ばされまくっているのだ。
そしてカービィはどうしていいのか分からないのだ。
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「カービィ、たぶん、見えてないんだよ。ちょっと飛んでみ?」
ぷわっ。
身体いっぱいに空気を吸い込んでカービィはその場でぷわぽわとホバリングをする。
「あらっ!ごめんねぇ〜気づかなくって!はい、カービィちゃんの注文ペッパービーフ丼特盛ね!」
「ポヨ!」
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「よかったじゃん!今度からさ、注文するときは飛びなよ。あっ俺ペッパービーフ丼大盛お願いしまーす」
カービィは俺の方を見てニコニコしながら手を振って行ってしまった。俺の大盛の倍はある特盛ペッパービーフ丼を手にしながら。
「どんなに腹減ってても俺はあんなには食えないな……」
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カービィと発表準備
「うげ〜〜〜来週の発表、俺かよ〜」
「どんまいラブミー!まさか発表順が名簿の後ろからとはなぁ」
「ラブミーは今からでも愛見沢(あいみざわ)に改名したらいんじゃね!?」
「んでまた発表近くなったらラブみざわに改名すれば永遠に発表しなくていいじゃん!」
「馬鹿じゃねーのwwwww」
そんな会話をしながらも俺は発表準備はしっかり行っていた。
資料も作り終わった。あとは全員に配るぶんコピーしてと……
「わり!俺ちょっとコピーしてくる!」
「おう!」
階段を上がり、自由に使えるコピー機のある部屋へ急ぐ。
いっけね、モタモタしてると3限始まっちまうな。
コピー機の前には先客がいた。
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「カービィ!?」
そしてその先客は
紙を食べていた。
「何してんだよ!それ、カービィが頑張って作った発表資料じゃないのか!?」
カービィは悲しい目をしながら俺に説明してくれた。
来週発表だから資料を作ったこと。
資料を教授に見せたら「コピーしてね」と言われてこの部屋に案内されたこと。
一生懸命コピーしようとしたこと。
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全部聞いて俺は吹き出してしまった。
「カービィ!コピーってのはさ……」
「ここに紙入れて、何枚必要かを入れて、スタートを押すだけでいいんだよ!」
「コピー能力とは違うんだぜ!」
「ポヨ⁉」
カービィの顔に笑顔が戻った。
「でもカービィ、いま資料口に入れてたから折れちゃってるよな……あ、USBにデータあるの?じゃあそこから新しく印刷していっぱいコピーしようぜ!」
「えーと、部数は俺たち全員分だから……」
カービィと発表
いよいよ発表の番がやってきた。
それぞれ和歌を割り振られ、その和歌についての解釈を発表するのがこの講義の目的だった。
曰く、日本人の情趣を理解するのが狙いとのこと。
そんなの余裕だぜと俺は発表を始めた。
「わたしが担当しました第n番歌は……クソつまんねー歌です!」
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なんやかんやあり発表が終わった。
俺がクソつまんねー歌と評した歌は教授曰く「とても可愛らしくいじらしい歌」らしい。
情趣ってわかんないもんだなぁ。
「オホン!では次、星野さん」
カービィの番だ。カービィ。俺はカービィの作った資料を握りしめた。
「うーむ……」
カービィの発表中、教授は唸っていた。
そして発表後、「星野さんは解釈が甘いんじゃないのか!?」と怒り始めた。
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カービィ。俺はカービィの資料をさらに強く握りしめた。
カービィだって頑張ったんだぞ……!
日本どころか地球生まれでもないカービィが、日本人の情趣を理解しようとして頑張った結晶なんだぞ!
心の中で叫ぶ。ぎゅう。資料を握る。手が熱い。俺が怒られてるわけじゃないのに。
カービィ……
「……でも、星野さんは面白い観点を持っていますね」
「!」
「この柔軟な切り口は私にはできなかった。星野さん、素敵な発表ありがとう」
「!!!」
なんだよ、やったじゃないか。
発表を終えて席に戻ろうとするカービィにそっと拳を出す。
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グッ!
それは、俺たち2人のガッツポーズだった。
カービィと卒論お疲れ会
「お疲れ様でしたー!」
俺たちは卒論を提出することができた。
俺は締め切り当日になってから目次を作っていなかったり、コピー機が詰まって印刷できなかったりとアクシデントに見舞われていたがなんとか無事間に合わせることができた。
俺とカービィは同じゼミだった。
担当教授は、いつかカービィの解釈の甘さと観点の斬新さを指摘した、あの教授だった。
俺とカービィ含め、10人のゼミメンバー全員が無事卒業できることが決まった。
最近寝不足でつらかったけど、無事に卒業できそうでよかったなぁ……。
「オホン!皆さん本当にお疲れ様でした。さぁ、コーヒーを淹れましたので飲みましょう。ケーキも買ってきたのでどうぞ」
「やったー!」「先生太っ腹ー!」
「ポヨーイ!!!」スゥーーーーーーーーッ!!!!!!
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研究室に風が吹いたと思いきやケーキは一瞬のうちに吸い込まれ…………
「あーー!!カービィ!!!全部食べちゃったなーっ!!!」
「ぽ、ぽよ?」
「オホン!星野さん…………」
「ぽ、ぽよ、ぽ……」
「そんなこともあろうかともう1箱あるんですよ!」
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ワァアアアアアアアア!!!!!!
研究室はとっても和やかな雰囲気だった。
俺、このゼミでよかったな。
大学生活の確かな終わりを感じながらそう思った。
カービィとバイバイ
「カービィ、ポップスターに帰るんだね」
「ぽよ!」
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「そっか。俺は適当な企業に就職だよ。カービィ、ありがとう。おんなじ大学で俺、楽しかったよ」
「…………そんだけ!じゃあ、元気でね」
「ポヨ」
「…………うん。頑張ってね」
カービィには守らなくちゃいけないものがあるもんな。
俺にはないよ。
だからこんなにも無気力で、怠惰で、どうしようもないのだろう。
そんな俺も守るべき人を見つけたらカービィのように強くなれたらいいな。
「ぽーーーよーーー!!!」
カービィは俺が見えなくなるまで手を振ってくれた。
ありがとう。カービィ。
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あれから数年
数年後、俺は立派な社畜になっていた。
「げぇ~残業したのに残業代出ないか~」
あの頃に比べ時間の制約が増えた。
やらなきゃいけないことも。
後輩に教えられるように勉強もしなきゃいけないし…………。
「愛見沢先輩、携帯鳴ってますよ」
「あ、悪い悪い」
社用携帯からグリーングリーンズが流れ、そして切れた。
「あ、かけ直さなきゃ…………」
「…………愛見沢先輩、カービィ好きなんすね」
「……まぁな」
どこからかポヨ!と聞こえた気がした。
おわりに
以上、カービィと送る文系大学の旅でした。
同時に、私がカービィでなかったばかりに大学で共に過ごしてくださった皆さんに提供することができなかった黄金郷です。
そのことは本当に忸怩たる思いです、許してください。
こういうの書いてるときが1番イキイキしてるかもしれないしょぐでした、ではね。
あいぱっよの画像欄アフロまみれになっちゃったよ。
あとクソつまんねえ和歌つったら教授にかわいい歌で私は好きですって言われたのはわしの実体験です。
こめへん
コメントありがとうございます!
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後期型PS3でも骨折しててもPS1のゲーム出来るよ
後期でもできるっけマジマジマジ?
20GBと60GBのはできるらしい。
わたくしの二ノ国エディションは160GBもありやがるのだが…………
骨折しててもできるはガチ。甘えてはいけません。
足骨折ならもうでき放題ですからね。
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三色ケーブル懐かしすぎて泣いちゃったな……
泣かないでーーーーーー!!!!!
全然 全然現役よ!!
わし結構な頻度で使ってるよ!!3日にいっぺんくらい使ってるよ!
赤白ケーブルは恐らくまだオーディオまわりで使われるのにね。黄色が加わるとレトロ感出るのなんだろね。
コメント欄です